開業や独立とPDPC

私は、一時期、開業や独立のエントリーに対して、お祝いを言えなかった時期があった。仕事で、たくさんの自営業の人と接して、開業したことによる苦労を目にしてきていたためだ。

私自身も、開業してから2回ほど過労で倒れて大騒ぎになり、そのうち1回は本当に救急車で運ばれてしまった。24時間体制で働かなければならないことはザラで、40度くらいの熱があって寝ていても電話はかかってくる。自分が病気になったときの対処を考えてはいても、いざとなると、それ以外のことが起こる。

開業したときは、「依頼がこなかったらどうしよう」「資金がなくなったらどうしよう」としか考えない。少なくとも私はそうだった。うまくいかなかったときのことばかりが気になり、良い展開になった時の事など、どうでもよかった。「うまくいく訳ないのだから、そうなってから考えよう」と思っていた。

しかし、「良い展開」というのは、突然やってくる。とくに、お客様ひとりひとりに真剣に向き合おうとすると、クチコミで急にひろがる、ということがある。そうなった時にはじめて考えるのでは遅く、早い時点で考えておくべきだった。そうしないと、「うまくいったとき」、というのが頂点になる。

予想外の「良い展開」、というのは、実は一番怖い。これが衰退の一歩だった、という会社やお店は、数多い。具体的に問題になるのは、経営者の健康の問題、商品やサービスの質の低下、人事労務面でのトラブル、売掛金の増加や在庫の増加による影響などだ。

PDPCという枠組みがある。何かの問題が起こったとき、冷静に対処し、望ましい結果へと軌道修正していく枠組みだ。そもそもは学園紛争のときに意思決定の枠組みとして生み出されたと言われている。

おもに、ハイジャックとか、新型インフルエンザ発生とか、「好ましくない事態」が起こることが想定され、状況や相手によってどうなるかわからない場合に使われるものだと思うが、開業した場合は、「予想外の良い展開になったとき」というのも、「好ましくない事態」の一種として考えておく必要がある。自社あるいは自分のキャパシティを超えて対応することはしない、と決めていても、実際に顧客を前にすると、冷静さを欠いてしまい、多少無理っぽいスケジュールを組んでしまうことも多い。それが、さまざまなトラブルにつながる。

これは顧客重視の姿勢をとることの落とし穴といえる。全ての生活のペースが顧客主体で回っていってしまうのだ。独立、開業された方は、どうかご健康にだけは、ご留意いただければと思う。

遅ればせながら、ここ1年の間に独立、開業なさったかた、おめでとうございます。応援しております。

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東京マラソン、何人かのかたを応援しながら、ネットとテレビで見ました。ペース配分が難しそうなコースだけど、私が応援した人達は皆、完走でした。美味しい焼酎が召し上がれたのでは、と思います。(←私の聞き違いかな?)

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表現の問題や、表現に関係のある誤解やエラーの問題を扱っていきたいです。また、私の手に負えない案件を引き受けてくださるかたを探すため、勉強中です。どうぞよろしくお願いします。

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(↑勝手にリンクはりました。不適切なこととか修正すべきこととかありましたら、お申し付けいただければ修正します。)